《今日読んだ本》というのを、「おすすめの１冊」と間違えないで下さるようお願いします＞皆様。
手当たり次第節操なし乱読ハーブが、たまたま今日（２〜３日くらいの幅はあるが）読んだ本なんですから。
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4/20
某所の待ち合いに置かれている雑多な古本の中に、珍しいものがあった。

・あもい潤『風精王（かぜおう）』（あすかコミックス、１巻のみ）

である。この人、ひらがなでないほうのペンネームが読めなかったので印象が強い。何しろ【厦門】である。思わず調べて中国の都市名とわかったのは、事件で有名になるより前。初めて読んだ作品は『草の惑星』だったと思う。古本屋で買って、ある種の魅力は感じたが、その後同じ店に売りに行った（万一ファンがこれを読んでも天誅を加えに来ないで下さいね。そういう本はごまんとある。ウチの本棚に四次元扉はないので、殆どの本は貸し本屋か図書館で借りたと思うことにしているのだ）

この路線では、『ぼくの地球を守って』が有名。この路線とは、「古代または地球外の高等文明、その生まれ変わりの少年少女」というやつ。一時のブーム（？）はすごかったらしく、「アトランティスの○○戦士は集結せよ。何日何時原宿駅前××（店の名）にて」といった広告（冗談ではないものがほとんど）がいろんなところに出て、いろんな編集部が怯えたそうだ。もと古代人の皆さんは今ごろどうしているのやら。無事に時空を超えて帰還なさったであろうか。

ちなみに某所とは、私が薬湯につかって肩こりを治しに行く場所である（バラすなってば）。
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4/21・22
・逢坂剛『牙をむく都会』上・下　中央公論新社
作家ひいき度　☆☆☆☆
この作品だけの評価は＋１

とにかく逢坂剛である。しかも岡坂神策シリーズ♪
といってもピンと来ない方に、逢坂作品群の入り口としてのおすすめは（注：次の二つは上記シリーズとは別系統）

やはり直木賞受賞作の
・『カディスの赤い星』上・下　講談社文庫（＋４、ただしスペインとフラメンコが好きな私にはこたえられないのでという理由が大きい。それ抜きでも、たいがいの読み手にとって買って損はしない作品。）
あるいは
ハードボイルド好みの向きには何と言っても
・『百舌の叫ぶ夜』集英社文庫（＋３）だろう。

今回読んだ作品に戻って。
逢坂剛の文庫は全部読み尽くしてしまったので、ノベルス版に初めて手を出した。タイトルがまるで某おーさわ君モドキなのはどうかと思うし、中身はもう自分の趣味と薀蓄を好き勝手にてんこ盛りときた。あいかわらずのスペイン内戦に加えて、西部劇マニアも丸出し。岡坂でなかったら、もとい逢坂剛でなかったら、誰も知らないような古い映画のタイトルと監督と俳優の名前並べるだけで何ページも使うなんて許せないだろうに、それでも読めてしまうところがファンの因果。いったん好きになった主人公と文体にさえ変わりがなければ、焼き直し二番三番煎じも何のその。今回も神田の古本屋においしい店に、会話の軽妙さ、登場する女性は美人ではあってもとにかく一筋縄ではいかない頭の良さ、そしていつものバーテンダーさん♪　という醍醐味があるのですべてオッケーであった。堪能。
しかし、逢坂ファンでない人には…はっきり言ってこの２冊組、おすすめはしません。

随分と遅くなりましたが、ようやく新装開店です。ヽ(^o^)ノ

とはいうものの、まだあちこちに不備があり、特に『ブラウザによって画像が出たり出なかったりする』というトラブルに、技術担当がストレス赤信号状態。それでなくとも、ハーブは「適当なところでアップして、あとは手直ししていけばいいじゃない」タイプのいい加減な性格、片や相棒は「こんなみっともないまま出せるか」タイプの凝り性完全主義気質、ときているので、いまだ日夜作業は続行中。お気づきの点もおありと思いますが、不備のあれこれには一週間ばかり目をつぶって下さるようお願いします。

「諸問題一応解決、これでいいはず」となった時点で、改めて、「文字化け・画像の重なりなどの不備が残っていたら、お知らせ下さい」との広報を出しますので、今しばらくお待ち下さい。

《今日読んだ本》
4/17
『白夜行』東野圭吾　　集英社文庫　￥1000
作家ひいき度　☆☆

（最初にお断りしておきますが、無駄話です。読んだ本自体より、周辺の話が大部分なので、正しい書評を読みたい方はどこかもっと適切なサイトに行きましょう）

分厚い。いや、それはもはや珍しくも何ともないことだ。何年か前に「弁当箱ノベルス」がいくつかヒットして、電車で立って片手で読むのがいかに困難だろうと、巻を分けないという不可解な売り方が定着してしまったのだから、厚さに文句を言うだけむなしい。

とはいえ、ミステリの癖にページ数がむやみに多いと、水増し薄味ではないかという懸念は常にある。発行から一年近くたってやっとうちに来たのも、購入担当（私は自分で本を買うことはあまりない）が、通勤用には扱いにくい千円文庫本の場合、労力にみあうだけの面白さを得られないことが多かったという経験的事実によるのであろう。また、東野圭吾という作家は知った直後は文庫で出ているもの全部読んだが、（うちでは）ブームが去ったと言えなくもないグループに属する。しかしこの人、ハズレが少なく一定の楽しみはほぼ確実に与えてくれるので、新しく出た文庫本は遅かれ早かれ結局買う。

で、今回は、私としてはかなりの「当たり」だった。裏表紙のアオリ（正式名称は知らない、作品紹介あらすじ？のようなもの）で『十九年』という文字だけは目に入り、歳月ドラマなのね、と予想したが、その内容が（ストーリーではなく、めぐる時代の描き方が）ごく自然な『同世代による昭和史』になっていたのである。

今までに感銘を受けた昭和史というと、水木しげると田辺聖子なのだが、これら含めて普通昭和史というと当然戦争が入る。終戦、復興、私の知らないその辺りが最も熱を入れて書かれている。もう少し若いところで清水義範、この人は昭和史と銘打った長編があるわけではなく、随所に昔話がひょこひょこ顔を出すだけだが、その時代の空気の活き活きとリアルで面白いこと。とはいえやはり私の知らない昭和、なのである。自分が生まれた後のことでも、小学生と大学生では同じ時代を共有しているとは到底言えない。

そして、明治の文豪から現代作家に至るまで、ずっと、あらゆる小説は自分よりも年上の人間が書くものだった。若い作家の小説、というものを読む趣味は昔から持ち合わせないせいもある（マンガ・アニメの世界はこれまた別の話である）。
だが気がつけば、同世代の作家ももはや若くはない。当たり前のことだがそんな歳になったわけである。

歳を感じるのはどんな時か。十人十色どころか自分一人に限ってもきっかけはいろいろある。だが多数の人に共通するのは、つい昔の話に反応してしまい、「そうか、あれからもう○○年も経つのか」、とつぶやく時だろう。私には、今回の東野圭吾が、小説で初めてそれを教えてくれる役回りになった、というだけの話である。

小説としても実によく出来ていた。長いのに、もとが短編連作というだけあって、だれない。スリルもサスペンスもあり、人間も描けていて、私の今年読んだミステリベスト10には確実に入りそう。

可笑しかったのが、タイトルだけ見たとき「馳星周の『不夜城』と似てるな…夜であって夜でない、それってどうして魅力があるのだろう。そして、ただの夜よりも、必ずいっそう暗い夜なのは何故だろう」と思った。そしたら、読み終えて最後の解説、これが誰あろう馳星周だった。編集さんも似たような連想をして依頼したのかどうか、私は知らない。

〔現代日本ミステリ小説。＋３〕

最初ですので、思い切って、自分の座右の銘を書きますね。
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変えられない物事を受け入れる 落ち着いた心と
自分に変えられることなら 変える勇気と
その二つの違いを常に見分けられる知恵とを
どうか　持つことが出来ますように

God grant me the serenity
to accept the things that I cannot change,
courage to change the things I can,
and wisdom always to tell the difference

Kurt Vonnegut, Slaughterhouse Five, 1959
（和文はハーブ私訳ですので、正しく宗教的な訳は下のURL参照）
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私がこの言葉を知ったのは、一時熱烈に愛読したカート・ヴォネガットの本でした。
が、実は、今回ここに書くためにネット検索して初めて、彼の創作でなかったと知りました。

背景を知りたい方へ：こちらの４.に出ています。

[参照URL]

えー、確か以前ハーブは「日記のような私事は書かないと決めている」とどっかで申しました。その頃は、ネット上で個人サイトというものをまともに読んだことがなく、「自分の日記を公開するなんて。気が知れない」などと思っていたのです（汗）。
「管理人日記」と称されていても実際には本や映画のレビューだったり、時事問題へのコメントだったりする、要するに素人連載エッセーのようなものに、十分市民権（？）があるとは知らなかったのです。日記というと、毎日書く義務が苦痛な小学校での提出用か、思春期の苦悩を鍵かけた秘密の１冊に封印したもの、のイメージでした（貧しい！）。気づいてみれば日本は日記文学というジャンルさえあるお国柄。日記というのは、フトコロの広い何でもありの「書きもの・器（うつわ）」であったと今更ながらに気づいた次第です。

というわけで、管理人という言葉にも日記という言葉にもそぐわない、my writings としか呼びようのないものをちょくちょくアップする事にしました。商売柄、英・和「コトバの話」中心に、読んだ本見た映画（今の生活ではレンタル主体だけど）のことなど書いていきます。

《折々のことば》
誰もが知ってる名言ことわざの類から、小説の一節、筆者自身やその知人の言まで、何が出てくるか分からない「引用して、コメント」だけが共通項の writings です。《わたしの・好きな・ことば》といってもいい。

《今日読んだ本》《レンタルビデオ評》
新刊も、古い本の再読（五度めでも十度めでも再読と称します）もあり。
もちろんネタバレは避けるよう心がけます。すなわち情報量としては文庫本の裏表紙か腰巻（帯ともいう）程度、ないしは文庫本の解説程度。
個人的に好き勝手書き散らし、に加えて
評価：−５〜＋５までの10段階。
ひいき度：単に自分の趣味による「好き嫌い」を星の数で、最高五つ星まで。
というあてにならない点数つけもしてみます。