| 2004/02/24(Tue) 08:51:48 編集(投稿者)
＞どうしてmy preciousssが愛しい「しと」と訳されてるのですか？
この字幕を見て、「何だソレハ？」となるのは、原作未読で映画を観た人の共通した、ごく正常な反応です。わたしも、『ホビットの冒険』で知ってはいたけど、「映画は読んでない人が見るんだから、『いとしいもの』くらいにすべきじゃないのかなあ」と最初は思いました。でも、今では、「字幕といえども抵抗がないほど良い訳とは限らない。その程度の疑問・ひっかかりは残していいのだ」、と思っています。
で、すでに白い都さまが過去の同じ質問に対してどういう答が出たか、は紹介してくださっているので、順序が逆ですけれども、過去ログ読むのも面倒な方向けの、一般的なお答えを試みます。
問１：指輪というモノを、なぜ「人」呼ばわり？
答１：まず、"Yes，my precious" というのは英語では日常しょっちゅう使う、"Yes, my dear" のバリエーションだということが明らかだから。
この呼びかけ、英語圏でのバリエーションは多いです。代表的なところで Darling, Honey, Sugar, my love, my beloved, angel...
きりがないというか、創作もいくらでも可。小説の中で、恋人に my little butterduck なんてのも見たことがあります(^^;)
（なお、翻訳では、「そうね、あなた」のようにできる場合はいいが、話者が男だったり、my 〜 の後の単語が特殊だと、無理な訳出はしないことも多い）
問２：なぜ「ひと」でなく「しと」？
答２：これは、もとのゴラムのしゃべり方が、やたら -sss が多いため、その感じを出しているのです。
英語で読んでも、とっても変な話し方で、瀬田訳は最初めんくらいますが、読み慣れてくると「うまいなあ･･･Gollumは実際こんな感じでしゃべってるよ」と、私は感嘆しています。
私が思うに、大事なのは「つい声を出して読んだり、知ってる同士だと真似をして『ゴラム（ゴクリ）しゃべりごっこ』」をさせてしまうパワーがあるという点。英語圏でもこれは何度も目撃しています。日常でもつい言いたくなるんです、日本語なら「そうよ、わしらかわいそうなのよ」、英語なら "Yessss, my precioussss" とかって！(^^;)
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